(この書評はインターネット書店(Yahoo!ブックス、amazon.co.jp)に投稿されたものを、ご本人の許可を得て転載しております。)
馬に魅せられて、北海道の馬産地に暮らすことになった著者。そこで著者が出会ったのは、愛らしい目をしたたくさんの馬たちと、その馬たちの最期を自らが決めなければならない現実だった。
本書の中の写真の馬たちの瞳は本当に愛くるしい。また、愛する馬たちと共に写る著者の笑顔は本当に明るい。その笑顔の下で、誰もが見て見ぬ振りをし、知ろうとしない『馬の最期』という厳しい現実と、常に向き合いながら生きている著者の気持ちを思うと胸が痛くなる。著者の馬たちへの深い愛情と、その愛ゆえに馬たちの『安らかな最期』を願い、自らその場に立った著者の毅然とした強さに、言い表せないほど心を打たれた。
馬が好きな人、競馬に興味がある人、乗馬をする人をはじめ、馬に何らかのかかわりを持つ方はもちろん、馬を遠い存在だと思っている方達にもぜひ読んでいただきたい作品である。そして著者が経験した喜びや悲しみを通して、『馬の幸せ』について真剣に向き合おうとする方が増えてくれることを心から願う。
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馬には縁もゆかりもなかった著者が馬に魅せられ、思い描いていた未来を振り切って馬産の世界へ飛び込んでいく。そして魅せられていただけではどうしようもない現実と直面…。私たちが知らない、いや『知らない・見ないふり』をしていた部分を、生産に携わる人間の目から、赤裸々に綴られています。「本当にここまで知ってしまっていいのだろうか?」…そんな思いが過ぎりました。
私はこの本をから【『真の動物愛護』とは】ということを考えさせられました。ボランティアと言う言葉が横行しています。ただ「可愛い」「かわいそう」では済まされない現実があります。自分に出来ることは?
一度でも競馬に触れたことのある人はもちろんのこと、競馬なんか知らない…と言う人にも一度は読んでいただきたいと思う一冊でした。こんなに真摯な人がまだ日本にいらっしゃる、日本人も捨てモンじゃない…そう思いました。
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この優しげなタイトルからは想像も出来ない、これは壮絶な本である。
筆者は幼い頃から頻繁に泣く。しかし、その涙は、筆者の弱さではなく、あまりにも強く深い、動物たちへの愛から流されるものだ。最初は身近な存在であった犬や猫たちへ向けられていたその視線は、獣医師を目指す道の半ばで出会った「馬」との出会いにより、劇的に広がりを見せることとなる。
そして、誰もが皆泣くであろうと思われるようなシーンで、彼女は涙を押さえ込む。強靭な意志の力のみによってだ。筆者が泣くシーン以上に、泣いてはいけないと涙をこらえるシーンが読む側の涙を誘う。
筆者がサラブレッドの生産者として選んだ道は、あまりにも険しい。大多数の競馬ファンたち、主宰に関わる人たち、生産・流通に関わる人たちが、今まであえて直面しないように、全てを知らせないように、幾つかのステップと名目を使うことによって避けてきたものを、この本はすべて明らかにする。覚悟を決めて、正面から向き合って読んでほしい。
もっとも、辛く悲しいことばかりではない。多くの競馬ファンに愛された名馬ナイスネイチャをはじめ、渡辺牧場の日常が語られる。馬とはどんなに純粋で、個性豊かで、そして愛すべき動物なのかが、文字を通して伝わってくる。
馬好きを自認する方はもちろんのこと、馬という種に少しでも関心のある全ての方にお薦めする。